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ゼロの焦点 (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 1971/2/23

文学賞受賞作家, 芥川賞受賞(26-50回)作家の本, ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本), 新潮文庫, 松本 清張


ゼロの焦点 (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 1971/2/23の表紙

によって 松本 清張

5つ星のうち4.3 5つ星のうち 104個の評価 人の読者

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自殺した夫には、妻も知らない、もう一つの名があった──。 『点と線』と並び称される、清張初期を飾るミステリーの最高傑作! 縁談を受け、広告代理店に勤める十歳年上の鵜原憲一と結婚した禎子。本店勤めの辞令が下りた夫は、新婚旅行から戻ってすぐに、引き継ぎのため、前任地の金沢へ旅立った。一週間の予定をすぎても戻らない夫を探しに、禎子は金沢へ足を向ける。北陸の灰色の空の下、行方を尋ね歩く禎子は、ついに夫の知られざる過去をつきとめる。 戦争直後の混乱が招いた悲劇を描き、深い余韻を残す著者の代表作。 本文より 「君の唇は柔らかいね。マシマロみたいだ」 とほめられたときも、はっとそのことが胸に来た。夫は自分と誰かとを比較している。比較して言っている言葉だと感じた。夫の熱い息を頬に受けながら、密度を禎子がうけとれなかったのは、そのせいだった。 誰とくらべているのだろう。禎子はその時、夫の過去の女ではないかと思った。三十六歳という年齢からすれば、夫にそのような過去があったのはふしぎではない。だが、たとえ過去の人でも、現在のように比較されるのが厭だった。……(本書101ページ) 本書「解説」より 一個の文学作品としてはやはり松本清張の秀作のひとつだ、というのが私の意見である。一口にいって、オキュパイド・ジャパンという未曾有(みぞう)の社会的混乱のなかから派生したひとつの社会的悲劇を、一見平凡な一会社員の失踪という事件に具体化した作者の着眼がすぐれており、その着眼を歩一歩と現実化してゆくプロセスもまたすぐれている。第一章における主人公の眉のあたりの憂鬱やだれかほかの女とくらべられたと思う女主人公の直観など、なかなかわるくない。 ――平野謙(評論家) 松本清張(1909-1992) 小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に"社会派"の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。

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